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感情が走った。
「何笑ってるのよ…。意味わかんない…………。何で………死にそうなのにそうやって笑えるわけ…?何でなのよ……」
………ははっ。
「気持ち悪い……」
赤い髪が顔を覆っていく。
見えない緋純の顔から涙が零れた。
神楽はいくつもの感情が抜け落ちたかのような目でそれを見ていた。
―つまらない―
緋純は信じられないものでも見るような目付きを、髪の隙間から向けてくる。
手に納まったナイフは所在なく傾く。
先程までの殺意の奔流は千切れて消えていた。
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