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「緋純…さん」
神楽が呟く。
動かない体がもどかしかった。
君信が支えてくれている手の感触もわからない。
―ビクッ!―
神楽の言葉にあわせて緋純の体が小さく跳ねる。
「……うるさい」
「殺してよ」
「「……っ!!」」
緋純と君信。二人が息を飲む。
「何言ってんだお前っ!!」「何言ってんのよアンタ…」
「もうオワカレなんだ……」
疲れた声がリネン室に立ちこめる。
「どうせ死ぬなら……ひ、ずみさんにころ…さ、れても悪くない……かなぁって……」
―つまらないから―
「もう助からないし……ね」
―プツン―
薄糸が切れるような音がした。
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