九月二八日

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    *  緑化が進んでいない赤茶けた大地を横切る道路。  そこを快調に飛ばしている車には先ほどの二人の姿があった。  何やら話し合う両者を見て、彼らが『ヒト』ではないと言われても信じる者はいないだろう。  しかし、彼らは俗に言う『doll』と呼ばれる物達……惑連宇宙軍情報局特務部隊の構成員であり、負の部分を担う存在なのだ。 「生きているかのように動いてはいる。だが厳密に言えばどうなるのかな」  謎かけのようなことを言いながら、助手席のNo.5は車窓から外の風景を見やった。  ハンドルを握るNo.21は一瞬隣を見かけたが、すぐさま前方に視線を戻した。No.5は相変わらず辛辣だな、と分析しながら。 「正直なところ、貴官と以前共同作戦を取ったと言われても、しっくりこない」 「それがシステムの違い、ってやつですか?」  前方を見つめたままのNo.21に向かってNo.5はうなずいた。 「君たちのように、行動記録をメモリーで蓄積するのと違って、私は起動のたびにデータ入力を必要とするからな。それはあくまでも記録であって、記憶ではない」  そして、おもむろに左手を目の前にかざした。
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