九月二八日

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 不意にNo.21は厳しい表情になり、サイドブレーキに手を伸ばした。  何事かとNo.5が尋ねる前に、No.21は車を急発進させていた。 「見てください。……自分が朝、ホテルを出た時からずっと着いて来ているんです。宙港付近で一旦消えて、つい先刻まで姿が見えなかったんで、油断しました」  その言葉の通り、バックミラーには不審な車の影が見える。恐らくはMカンパニーの職員だろうか。  だが、その周到な様子から見るとただの職員ではなさそうだ。  事実であれば、それこそ洒落にならない。  珍しくわずかに笑みを浮かべて、No.5はつぶやいた。 「これは、確かに非常事態だな」 「そりゃそうでしょう。よほどのことがなければ、『休暇中』の少佐殿にお呼びがかかる訳がない」 「まったくだ」  しばらく会話が途切れ、車は市街地へと向かう。  その間、No.5は再び外の景色に見いっていた。
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