473人が本棚に入れています
本棚に追加
会社側はデータの廃棄を求めたものの、話し合いは平行線をたどったため、というのがMカンパニーの言い分である。
たかがこれだけのことで、とNo.5は首をかしげた。
或いは本当に『電卓からミサイルまで』との噂を裏付ける物が写っていたのだろうか。
そこまで整理して、ふとNo.5は被疑者である女性の写真に目を落とした。
少々きつい、だが整った顔立ちの女性がこちらを見つめている。
誰かに似ている。
データを再確認しようとしたとき、ノックの音が室内に響いた。
「ブラウン捜査官、そろそろ面会に出たいのですが、よろしいでしょうか?」
扉の向こうからNo.21の声が聞こえた。
必要以上に遠回しな言い方は、盗聴器の存在を気にしているからなのだろう。
資料をまとめ、作戦用の疑似IDカードを確認してから、No.5、否、アンドル=ブラウンは立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!