プロローグ~遭遇~

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 やはり、どこかおかしい。これらは何かに作られているのではないか。  数多くの情報を収集するうち、彼は有ることを自身の持つデータから引き出した。  この星では、ある会社があらゆる面で絶対的なシェアを占めている。その名前は確か……。  ふと、彼はタブロイド誌の社会面に目を落とした。発行元はマルスではなく、フォボスに本社を置く、小さな会社の物だった。  一面で唯一、大々的にフォボス内乱を取り上げていたので購入したのだが、細かい所まで目を通すのは、初めてだった。  その記事は、社会面の片隅に、ひっそりと隠れるように載っていた。タイトルは『Mカンパニー、人権侵害』  その見出しに興味をひかれて、彼は読み進める。果たしてその内容は、書かれた行数に反比例するほどただ事ではない物だった。  直ぐ様彼はテラに照会を取る。同時に他のメディアでこの事件を取り扱っていないかどうか、目を光らす。  続報が無いまま、丸二日。果たして当局より正式に辞令が降りた。  マルスにおけるこの事件調査官として、彼を任命する、と……。
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