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「突然呼び出してすみません。お忙しかったでしょう?」
本当に申し訳なさそうに言うNo.21に、クレアは笑顔で答えた。
「いいえ。ようやく気持ちの整理もついたところで……。何かあったんですか?」
「急な話ですが、今日いっぱいでこちらの任務を解かれることになりました。明日一番の便で、テラに戻ります。それをお伝えしようと思って」
予測通り驚きの表情を浮かべるクレアに、No.21は困ったように言葉をついだ。
「お伝えしようか迷ったんですが、今回はケースがケースな物でしたから……あの、大丈夫ですか?」
「え、ええ……お二人には本当にお世話になりました。何だか……」
寂しげにつぶやくクレアから、No.21は視線をそらす。
だが、延々と沈黙に耐えられなくなったのか、あわてて付け足した。
「何と言って良いのか解りませんが、安心してください。今回の件を知る者は少なくともマルス上にはいなくなる訳で……ええと……」
「これからどうにかやっていくつもりです。でも知ってしまったという事実は消えません」
再び両者の間に沈黙が流れた。このわずかな期間で彼女の身の上に起きたできことを思えば、当然のことだろう。
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