― 美琴編 ― 

2/2
131人が本棚に入れています
本棚に追加
/121ページ
それが「初恋」だと気付くのに、 そう時間は掛からなかった。 同じ中学校に上がり、クラスは別だったけれど、 視線の先には いつも彼がいた。 ただ 見ているだけで幸せを感じた。  私の名前を 彼は知らない… こんなに゛想い″゛焦がれてる″のも…  佐伯 美琴。 私の名前… 彼よりも、 少し背が高く。 とても平凡な顔立ちをしていて… だから あの時、一緒にスズメの墓を作った私の事を、彼は覚えていないだろう… それでも良い。 彼と触れ合えた。その一時が幸せなのだから… 彼の名前を、私は知っている。 「ボクが生まれた時、君を想う…って、お母さんがつけてくれたの…」  田中 想 だから 一匹の小さいスズメにも、 あんなに「想い」を込めて 涙を流せたのだろう… 今でも、あの「スズメ」をうらやましく思う。 彼の想いを、あんなに貰って… そんな事ばかり、毎日考えてる… 彼、想は、優しい目をしていた。 長いまつ毛に、薄い色をした髪… キレイな顔立ちをしていた。 いつも1人で、 ぼう…と。 外を眺めていた。 いじめられていた訳でもなく、 ただ、1人でいたい。 そんな風体で…    
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!