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それが「初恋」だと気付くのに、
そう時間は掛からなかった。
同じ中学校に上がり、クラスは別だったけれど、
視線の先には いつも彼がいた。
ただ 見ているだけで幸せを感じた。
私の名前を 彼は知らない…
こんなに゛想い″゛焦がれてる″のも…
佐伯 美琴。
私の名前…
彼よりも、
少し背が高く。
とても平凡な顔立ちをしていて…
だから あの時、一緒にスズメの墓を作った私の事を、彼は覚えていないだろう…
それでも良い。
彼と触れ合えた。その一時が幸せなのだから…
彼の名前を、私は知っている。
「ボクが生まれた時、君を想う…って、お母さんがつけてくれたの…」
田中 想
だから
一匹の小さいスズメにも、
あんなに「想い」を込めて
涙を流せたのだろう…
今でも、あの「スズメ」をうらやましく思う。
彼の想いを、あんなに貰って…
そんな事ばかり、毎日考えてる…
彼、想は、優しい目をしていた。
長いまつ毛に、薄い色をした髪…
キレイな顔立ちをしていた。
いつも1人で、
ぼう…と。
外を眺めていた。
いじめられていた訳でもなく、
ただ、1人でいたい。
そんな風体で…
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