遠雷

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 兵士達の訓練の様子を見るのはバセルの楽しみのひとつでもある。    バセルは年老いた将軍ベルハイスを信頼し、これまでは軍のことにはあまり口を出すことはなかった。    しかし、これからはそうはいかぬ。平和な時代は終わりを告げ、戦が始まろうとしているのだ。ベルハイス一人に全てを任せるわけにはいかないのだ。    また、戦場で軍を指揮させるにもベルハイスはあまりにも歳をとり過ぎていた。過酷な任務に耐え得る若い指揮官が必要だった。    王はノーラングに送るに相応しい軍の編成を命じるとともにベルハイスの代わって部隊を指揮する者を選べと命じた。  ベルハイスも自らが戦地に赴くことはないと予め予想していたのか、躊躇うことなくバロバの名をあげた。    これまでもベルハイスは自分の代理としてバロバを立てる機会を多く設けてきた。今では誰もがバロバの指示を素直に聞き入れるようになっている。    王はベルハイスに言った。戦地に送る軍の指揮は全てバロバに委ねると。
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