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城に着いたオクタスはすぐに広間へと通された。
今回の招きにあずかったのはどうやらオクタス同様の青年兵ばかりだった。その中に若獅子隊の見知った顔は見当たらない。
招集された者たち皆がこの宴に招かれた理由を知らぬようでオクタス同様、不安を抱いているように見える。
やがて、王が皆の前に姿を現すと各テーブルの盃に葡萄酒が注がれ、「一同起立」の号令とともに、王の挨拶がはじまった。
「よくぞ我が城に参じてくれた。今宵の宴はわしの気まぐれによるものだ。無用な気遣いなど一切無用。好きなだけ食って飲んで精々楽しむがよい。」
固唾をのんで構えていたオクタスには、拍子抜けな挨拶だった。
乾杯の後に奏でられた楽曲の賑やかさも手伝って、オクタスの不安は一気に掻き消され、給仕のすすめのままに料理に手をのばした。
うまい!
普段口にする料理とはやはり品が違う。どれをとっても文句のつけようがない。
酒がまわるとオクタスの緊張はさらにほぐれていった。
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