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悠久の砂漠ダーマを東に臨むホラング王国は、戦を知らぬ平和な国であった。
王の都ファリスは交通の要所にあり行き交う商人たちで溢れたいそう賑わっていた。
また、潤沢な水と肥沃な大地は、多くの恵みを与えてくれた。
そして何よりもこの国の偉大さを物語るものは、大陸の西半分を管轄する主教座が置かれていることだった。
この主教座の保護にあたる王国は西の盟主として近隣の諸国から敬われる地位を得ていたのだ。
争いのない時代が幾代も続いた王国は過去に一度も他国からの侵略を受けたことはなかったが、王は軍隊の備えを怠ることはなかった。
強大な軍を保持することは保護下にある諸国の平和を維持するために欠かせぬものであることを王は心得ていたからだ。
王の望みは、地に住むすべての民の平和と繁栄であった。
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