第一章 さくら

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京子は風俗のスカウトを仕事としている。 街で『働きそうな』女の子に声を掛け、条件に合ったお店を紹介しているんだとか。 約束の時間まであと30分はある。場所は駅前に佇む2階建てのファーストフード。 仕事熱心な京子は、空いた時間も職務のスカウトをしている。 地下鉄の改札口付近で、『待ち合わせ』を装いながら目につく範囲内一杯に、魅力的な女の子を探す。 が、残念ながら見つからないまま約束の時間を迎えてしまった。 ただ突っ立って居るだけでは不自然なので、携帯を片手に持っていた。 すると、手にしていた携帯のバイブがなった。 ┏━━━━━━━━━━┓ 件名:今⤴⤴ 本文:着きました😃京子さんどこに居ますか? ┗━━━━━━━━━━┛ 受信箱を閉じ、彼女の携帯に電話を掛ける。 『もしもし?ごめんね、今近くに居るから、先に座っててねー。』 『あ、はいーわかりましたー』 今の子らしい舌ったらずな声が返ってきた。 心なしか元気がなかったようだ。 (…こりゃ(風俗に)落ちるなー) スカウトの勘が働いた。
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