第二章

4/5
前へ
/9ページ
次へ
そうだ。鏡で自分の顔を見れば何か思い出すかもしれない。 俺は鏡を探した。 …鏡が見つからない。洗面所に行っても、鏡があったであろう場所には不自然なスペースが顔を覗かせているだけであった。 おかしい。普通の家には鏡の一つくらい必ず有る筈だ。 俺はどういう人間だったのだ?何か鏡を付けられない、もしくは見たくない事情があったのだろうか。 自分が怖い。もしかすれば俺は狂人だったのかもしれない。 同時にこの家も怖くなった。ここにいれば気が触れてしまうのじゃないかとも思った。 俺はたまらず外に飛び出した。夜だった。 家の周りは都会と言ってもいいくらいはビルが並んでいた。しかしそこまで乱雑している訳でなく、中規模の市街地といった風景だった。 どうやら俺の住むこの家はアパートらしい。横並びに扉が続いている。高さからいって、俺の部屋は三階くらいだろう。 それよりも、何故か気味の悪さを感じる夜だった。暗いが明るく、空の色彩は青黒かった。昼の空に、無理矢理夜空を張り付けたようだった。 選択肢 1⃣:俺は怖くなって部屋に戻った。 2⃣:俺は外を探索する事にした。 3⃣:俺は横の部屋の扉を叩いた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加