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「スタッフロール」
闇に浮かぶ白く輝くなまめかしい素肌を蜘蛛の糸にすがる亡者共のように
フン…と鼻で嘲笑う
欲望の色など馬鹿馬鹿しいくらい単純だ
少女の闇が暗部が悪魔となりて聖職者を誘惑する
そこを耐えながら、オスであることを涙禁じ得ずに
欲望を叩き殺す
憧れを
千日思い描いた正夢をお金を貯めて買った玩具を
外に投げ捨てる
やがて産まれる安堵の寝息
もう体を売らなくても男の人に怒られないんだ
静かな私にとっても穏やかな時間
わたしは…
わたしは…そう…
少女の胸で泣いていた
彼女の痛みを歴史を泣いていたのか
私自身を憐憫したのかとにかく私は泣いていた
何故だかわからないがそれは誇りだ
そう思っていた
この時間を今ここにあるという全てを
誰にも奪いされはしない
そうだ私は最愛の女に裏切られ信じるということを諦めていた
目の前の少女とて
どうせ裏切るのだ
だったら
今ある全てをぶつけてみよう
あなたを疑い諦めてしまう弱さもあったが
私自身を信じ抜き貫き通す意志があった
こんなに近くにいても届かないよ!
男女の究極の儀式をしたってどれだけ分かり合えるというの?
感動した映画にいつまでもどこまでも余韻に浸っていたかった少年の日のように
闇の中で
やさしいやさしい…
暗闇の中で
よく知らない名前が流れるのを
涙流して眺めました
そしたら僕の頭に雨が降って
それから彼女にキスをしたら
塩辛かった
彼女はわからぬように健気に泣いていたんです
それからです
俺は大正のロマンあふれる古びた映画館に
ずうっと同じフィルムを見に散歩に行くんです
一人しかいないスタッフロールを心待ちにしながら…
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