無軌道

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「歌を忘れたカナリア」 ペンを傾けるのが 怖くなってきた 中身がないのが 私がガランドウなのがバレてしまうから 私にとっての価値や誇りは『思い』だけであったのに 古びた辞書の扉のように薄れてぼやけて まるで 無責任な傍観者や 誹謗中傷を繰り返す狂人共が正しいのかと 思えるほどだ 私はただ少女を 弄んだにすぎないのか ただの性欲だと 切って捨てられるような雨曝しの週刊誌ぐらいの存在なのか 自分では 心の闇 パワーゲームばかりが偏重される『社会』と戦っていたつもりであっても 所詮は皆が言うようにただの性欲 心の弱った子供を 食い物にした野獣にすぎないのか 肯定しピカレスクを気取るにせよ 否定し孤独なヒーローを気取るにせよ いずれにせよ 私は独りだ どう転んでも他者には認められない存在である私は独りだ 少女がいないから また独りであり その『思い』さえ薄れてしまった私は 独りよりも独り 基準さえ喪われた 無軌道なのだ
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