彷徨

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「BLACK SUN」 日輪の輝き 眩いばかりの白いドレスを装い舞踏会にワルツを踊る 唯一神、始皇帝、王たる王の寵愛を欲しいままに栄耀栄華を極めたかに見えた だが… 太陽は黒いのだ! 木炭のように 消し炭のように コールタールのような太陽 あれに比べれば 寂しい青ざめた月のほうがメインキャストに見える 孤独を気取る彼女の廻りには 無数の思い出と 無数の片思いが 恋人達が輝いている 宵越しの富を着飾らなくても たなびきたる紫雲がコーデする ブラックサン! 私にはあなたの哀しみがわかる 後宮に寵姫がありながらあなたは自らが最愛だと虚勢を張らねばならない 若さと美しさという有限の銀細工を 永遠に錆びぬと 言わなければならない ゼウスが若い娘に手を出そうとするものなら叩き潰さねばならない 最愛であると笑いながら ブラックサン! よく見れば あなたのまわりには誰もいないではないか 山も海も川も動物達もあなたを崇めたてはするが あなたの隣りに座り語りかけようとはしない にこやかな黒い仮面の下で太陽は泣いている 空色の海で漂流しながら 秩序と法を守りながら定められた道を歩いているいつしか冷えた太陽は物言わぬ熱射で 己の顔ばかりか 作物や土壌 お腹が減ったよ 喉が渇いたの 子供達を焼いた 今朝には涼風と静けさの中に深い潤いと 生き物を慈しむ深いいたわりがあったというのに 不死の正義と 揺るぎない信念と かたくなな誇り持つ 私向日葵の花以外の 可憐の花々が 潤える日はいつのことでしょう 告白の涙流れ落ち 大地に川の流れを取り戻すのはいつの日か 太陽が白く輝くのはいつの日か!
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