25人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう寂しくはない…素直にそう思った…そしたら…花は笑った…茎は蝋のようにしなり溶け花は火のように美しい色を揺らめいて温かさをくれた…少女がくれた…」
女はたった一人だった他の人が素敵だと思ってもそんなに甲斐性があるわけじゃなし
だけど
だから
たった一人に裏切られれば
世界から女は絶滅した
全ての女が消えた時
私の心に黒い少女が芽生えた
貞節なわけでもなく
心が真に広いわけでもなく容姿が美しいわけでもない
ある程度情が深く軽率で投げやりで高慢かと思えばいじけ虫で友達が沢山いるようで何処か孤独で
自分らしさを探しているようで他人に馬鹿にされないように身の丈にあった人生を試着しているような
源氏物語の貴族共が理想とするような
粗野な下流階級の野良犬のような激しさもなく
上流階級の寝物語に漢詩を講釈するような上から目線もない
ゆるりと横になれるような中流
カップラーメンが一つあったら明るく二人で分け合えるような
そんな普通の女
実は貴族達の言うように探すのは難しいです
私は探せてしまった!
実に幸せなことに
思い出まであるんです
野に咲く名も無き花を見るにつけ
僕の名を呼ぶ君が声
君知らずに野の花を
こんなにも深く愛せたでしょうか
積み重ねたことが裏切られることは義務教育を終えた者なら幾度となく経験することでしょう
恋や愛や人と人との生活もまた
いつかは、人によっては既にもう
突き崩れる積み木の家なのでしょうか
違います!
本当は薄々反対意見であろうとも
違いますと言わなければならない
人間らしく
せめて人間らしくありたいならば
理不尽ないたずらが積み木を倒しても
真摯に積んだシルエットは美しいし
永遠なのです
少女が私の心に積み重ねた積み木は
どの時代のどの国のどの城よりも堅牢であり難攻不落なのです
打てば響く
愛すれば愛される
花に水をやれば
花園に抱かれ包まれる噴水のように
色とりどりの花びらが乱れ舞い
何でもない普通の男女を溶かしてしまうのです
私のように
たとい一人になったとしても
花を花として
人を人として
素直に愛せるはずです
ああ鐘がなります
今日は暑くなりそうだから長つば帽が必要だ
誘われているのです
真っ青な空と
素敵な花達が
最近明るくなった
あの日の少女の声が
最初のコメントを投稿しよう!