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「かぐや姫」
月はいつも高いところにいた
何者も触れることのできぬ天頂で誇り高い存在ではあったが
それは同時に傷つくことを恐れて昇ってしまったかぐや姫でもあった
月と黒い少女はよく似ていた
女性というものに投げ出されると
いつも月の膝元に泣きつきすがりつき嘆いた
まるで姉にすがる
できていない弟のように
月はいつも地母神のように
それとなく慰める
心の中ではえもいえぬ気持ちで渦巻いていたが
時折見せる
月の少女のような
幼さに
黒い少女を重ねた
『残月』
竹取の翁が
小さな女の子を
大事に育てて
婿探しに奔走
月の使者に連れられて昇る車を見送った
やがてただの夜空となり
やがてただの満月が残り
最早変わらぬ
月の容貌を見送った
見送った
見送った
竹取の翁のように
見送った…
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