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しかし本当にいったいどうした事やら。
土方は普通ならば激怒して刀を振るうはずなのだが、今は冷静沈着に、茶を淹れているではないか。
しかも鼻歌混じりで。
「局長、何があったと思いますか」
「女だろ」
「え、即答?!」
「女だ」
「局長、それ副長に失礼っす」
「なんだ藤堂。八番隊の組長おろしてやってもいいんだぞ」
「さーせんっした!」
「今一番怖いのって局長だよね」
「そうだな…」
四人は土方のご機嫌な背中を見つめ、それぞれの意見を口にした。
「さ、!たんと飲め!」
あれから間も無くして、土方が笑顔で自分の分をいれた四人の湯飲みを持って現れた。
「え!俺のは!」
自分の所に茶が回ってこなかった藤堂が土方に向かって手を差し出す。
「なんだ藤堂。お前も飲むのか」
「ひどっ!!!」
目を潤ませた藤堂がしょんぼりとその場に手を降ろす。
原田は軽くため息をつくと、まだ口につけていない自分の湯飲みを藤堂に手渡した。
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