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「…もう大丈夫なのか?」
抱き締められたままシーツから顔を出した僕を見つめて、頭を撫でてくれるユーリ。
僕はそれに小さく頷いた。
するとユーリは安心したような微笑みを浮かべて、解いて床に捨てていた包帯を拾う。
「今日吸血は辞めておこう…精神的に疲れているだろう?」
ゆっくりと僕の手を捕ると包帯を巻き始めるユーリ。
何だかんだ態度がデカいと言われているけれど、仲間思いの優しい吸血鬼…
僕が好きになった人…
「僕は大丈夫だヨ♪そんなこと言ったってユーリだって渇いてしんどいでショ?ほら…指先冷たい…」
包帯を巻いているユーリの手にそっと自分の手を添える。
冷たい冷たい…血が通っているのか疑わしくなるほど冷たい手…
ユーリは僕を見つめて、小さくため息をつくと、僕を抱き締めて首筋に顔をうずめて…
ゆっくりと噛みついた…
痛くないようにと、怖がらないようにと気を使ってくれているその行為の最中、僕はユーリとアッシュに守られるようになったあの日の事を思い出していた…
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