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首筋に牙の刺さる鈍い痛みを感じ、その瞬間、牙が皮膚を貫く音が耳に響く。
ジュル…
グチャ…
ゴクッ…
耳に近い部分で血を啜られているせいか、彼が血を貪り、飲み込む音や、その合間の吐息が直に耳の奥に響いてきて、体の奥からゾクリとする感情が湧き上がる。
彼…ユーリが僕を求めてくれるのは吸血行為の為だけ。
ユーリがあの少女と関わる度に沸き起こる吸血衝動を抑えるために、僕はユーリに血を吸われる。
元々僕の種族である透明人間は、体を透明にするしか力を持たない種族。
そんな力を持たない僕達がその種を絶やさずに居られたのは、ほかでもない、ユーリの一族である吸血鬼と、アッシュ達人狼のおかげ。
他でもない、この僕も、ユーリとアッシュに守られてきたから生きて来れた。
そしてその守られる為にはその代償も必要になる。
そしてその代償としてユーリが求めたのが、定期的に彼に血を与えること…
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