オオカミと。

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ハクトの牙は久方ぶりに血に濡れた。 オオカミの牙は鋭く光り、全てを貫き噛み砕く。 「こ、殺せぇ!飼い主に噛みつく馬鹿犬を…殺してしまえ!」 闇に紛れ、霧に紛れ…ハクトはニンゲンを狩り続けた。 自らの愚かさを悔いるように。 死んでいった皆を弔うように。 ……その日、沢山のニンゲンとオオカミが散り散りに逃げ出し、沢山のニンゲンが死んだ。
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