〈想ぃ〉

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その頃、私の家では両親がもめていた。 私のパパは、小さな居酒屋を経営し、パパが生活費をくれないという理由でママは働きはじめていた。 夫婦仲が悪くなったのは最近の事でなかったらしいが、幼いながらに家庭崩壊の危機を感じていたのを覚えている。 その頃は2つ上の姉と出来るだけ仲良くし、 「私達は悪い子じゃないよ?だからパパとママ、喧嘩しないで?」と心の中で思っていた。 けど、私達の思いは通じなかった。 そう…、パパとママは離婚した。 小学校2年生の冬の事だった。 それからというもの、私は心から笑えなくなった。 作り笑いばかり上手くなった。誰が見ても楽しそうな、嘘には見えない笑いが凄く上手だった。 悲しみを隠す最大限の努力のつもりだった。 そして、住んでいた家の近くにアパートを借り、そのまま私は同じ学校で3年生になった。 ただ1つ変わったのは、クラス変えがあった事。 仲の良かった人達と離れ、私は男の子とそんなに遊ばなくなった。 もちろん大好きな龍平とも。
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