〈想ぃ〉

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私は昔と変わらず何気ない毎日を送っていたつもりだが、私が心から笑っていないという事に気づいている人がいた。 私は必死に隠しているつもりだったから、そんな事は知るよちもなかった。 なぜ、そんなに隠していたかというと、自分自身、辛いところを見せたく無かったのと、ママと約束していたから…。 パパと別れた事、引っ越した理由を友達に言ってはいけないと。 しかし、パパがいなくなった家庭に変化が訪れた。 ママに恋人ができたのだ。その事に不満は無かった。 ママの新しい恋人は、ママの7つ年下だった事もあり、おっきいお兄ちゃんというような感じで接していた。 でも、私のパパはしつこかった。 引っ越した場所を捜し出し、家にたずねてくるようになった。 昼夜問わず、ママの彼氏がいる時も度々来ていた。 そんな状況に戸惑った私達にママから新たな約束事が告げられた。 それは、 「もし、ママがいない時にパパが来ても絶対に開けちゃダメだょ」というものだった。 幼かった私達は素直に約束を守り続けた。 するとしばらくして、パパは来なくなった。
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