君についた嘘

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    今日はメンバーも休みで遊びに行こうと誘われていた。 けど、病院の予約をとっていた俺は断り、今、ここにいる。   病院は都心から離れているから見つかる(騒がれる)可能性は少ないと思う。   それに体調不良が続いただけで病院に行くなんて恥ずかしいし、たいした事ないのに心配もかけたくないからね。     「番号札28番でお待ちの方、第2診察室へどうぞ」     受付のお姉さんの声が待合室に響く。 俺は手の平に握り締めていた番号札を見る。 そこには【29番】と書かれた札がありもう一度握り締めた。     (…次、か)     息を吐いて窓の外を見れば桜の木が風に揺られていて、つい最近まで寒かったのに、もう春なんだなぁと実感した。      
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