6人が本棚に入れています
本棚に追加
アーネストは、カリオペの主人であり、アテネの丘にある広大な城の主でもある。
今は、心地良い日の光りを浴びながら、テーブルに突っ伏し、カリオペの講義など、お構い無しと言わんばかりに、寝息を立てている。
今日は、雲一つ無い快晴。
その気持ち、わからなくはないんです。
カリオペは、自分が着ていたガウンをそっと主人にかけた。
この城の中庭には、色鮮やかな薔薇が、咲き誇っている。
薔薇の歴史を学んでいただく、良い機会だったというのに…。
カリオペは、溜め息混じりに、薔薇を眺めながら、紅茶を飲んでいた。
「…ぅわぁ!!………?」
奇声を上げながら、突然、目の前のアーネストが飛び起た。
意表をつかれたカリオペは、危うくティーカップを取り落としそうになる。
気を取り直し、アーネストからずり落ちたガウンを拾い上げる。
ふと主人を見つめると、未だ、驚きと恐怖が入り混じった顔で立ち尽くしていた。
「アーネスト様、お目覚めになられましたか?」
カリオペは、笑いを堪えながら、主人に座るように促した。
最初のコメントを投稿しよう!