19人が本棚に入れています
本棚に追加
社長と上司は、悔やみの言葉を掛けると共に、彼の仕事に対する姿を、家族とその女性に伝えた。
家族の中で、まず口を開いたのは母親であった
「あの子は、仕事に誇りを持っていました。文句を言われながらでも、辛い思いしながらでも、良く頑張ったと誉めてあげたい子です。」
社長と上司は、家族から責められる事を覚悟していた。しかし、思わぬ言葉に、涙を隠せなかった。
次に口を開いたのは父親である
「貴方が、あの子の上司ですね?」
「はい。」
「あの子を、叱咤しながら鍛えてくれた事に感謝しています。1人で泣いてた時もありましたが、その度にあの子は、強くなった気がします。」
上司は、その言葉で、きつい事を言った反省と、彼が応えてくれた嬉しさが脳裏を走った。そして、父親が次に言った言葉は
「この女性(ひと)は、あの子の彼女なんです。仕事を頑張り、貯金が貯まったら、結婚する予定でした。」
それを聞いた社長と上司は、頭を彼女に向かい、深々と下げた。申し訳ないとせめてのお詫びだった。
最初のコメントを投稿しよう!