出会い

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「行ってきまーす」 カンタは家から飛び出した。 右の肩に潰れかけのランドセルを掛け、乱れた服装で走る。 始業のチャイムが鳴るまであと10分。 学校まで歩いて15分は掛かる。 急がなければ遅刻してしまうだろう。 カンタは朝、余裕を持って起きるのが苦手だった。 数日前も遅刻して担任に怒られている。 気は逸るがこんなときに限ってカバンが重い。 国語の授業で使う辞書が2冊入っているからである。 国語辞典に漢和辞典。 彼にとって普段は枕の代用にしか使ったことがないモノだ。 軽くため息を吐きつつも、カンタは急ぐ。
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