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「よし、校長のとこに行こう!!」
そう提案したのはルーティだった。
「そうだ!! その手があった」
「すっかり、忘れてた」
おそらく一番確実で適切な方法を手にする手段だったが、当たり前すぎたのか、自分達でケリをつけたい気持ちがあったのか、それは定かではないが、一先ず答えが出た。
「なら、善は急げ!! 今から行く……ぞ――?」
ルーティが立ち上がり、机から離れかけたその瞬間だった。
大きな爆音と共にこの城全体に衝撃がはしった。
「何だ…!? この音」
「わからない。けど、外みたいよ」
「もしかして…………ファントム…??」
エイビドゥが呟いたその一言は突然の衝撃で静まり返っていた図書室にいるほぼ全員に聞こえてしまい、次の瞬間には図書室内は怯えた生徒達の叫び声で埋めつくされてしまう。
「嘘だぁぁあ!! 俺まだ契約してない」
「いやぁ死にたくない」
「せ、先生達がきっと!?」
あまりの騒がしさに三人とアゼルは図書室を抜け出した。
「エイビ!! 無責任なことを簡単に言うな!!」
ルーティが怒鳴る。
「ゴメン……」
流石に反省している様子を見せるエイビドゥだった。
「まだ、本当にファントムかどうかわからないし」
シーフェがそう言うのだが、その後のアゼルの言葉に一同は絶句する。
「いや、エイビドゥは間違ってねえ。この感じは“ファントム”だ」
「……!?」
「わかるのか…? アゼル」
エイビドゥが恐る恐る聞いた。
「あぁ。絶対にこの魔圧はファントムだな」
それを聞いてシーフェもルーティも下を向き、苦悩する。
自分達は戦う力を既に得ている。それもエイビドゥと違い、重い代償はない。
だが、今すぐファントムがいる現場に駆けつけ戦うべきだという責任感にも似た正義感もファントムに対する底なき恐怖によって身動きがとれない。
一方、エイビドゥは空を見つめる。そして、目を閉じ息を深く吸い、ゆっくりとそれを吐き終えると目を見開き言った。
「……俺、行ってくるよ」
「……!?」
「え? エイビドゥ何言って……おい!! ま、待てよ!!」
二人にそう告げるとエイビドゥは引き止める言葉も無視し、先ほど音がした方へ全力で駆け出した。
アゼルもエイビドゥのすぐ横を飛んでいった。
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