†第一章参幕目† 『大切なものと守る為の力』

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 不気味なその怪物の周りでは傷つき地に伏せる数名の者がいた。着ている服からこの学園の生徒であることがわかる。  「すでに何人かが……!?」  ――目を背けるなエイビドゥ。お前もああなりたくなかったら、集中しろ。  まがいなりにもあそこにいるってことは覚悟の上で来てるんだからな。  「…………わかった」  すると、次の瞬間。エイビドゥの爪が伸び、鋭く鋭利な黒い刃に変わる。  ――いい物を知ってるな悪魔の爪とは。  「本で見たことがあったんだ」   ファントムも上空で戦いの準備をするエイビドゥ達の魔力に気づき、エイビドゥ達を敵と視認する。  「行くよ!! アゼル」  ――あぁ。   翼を大きく羽ばたかせて、ファントム目がけて空を裂き、真っ直ぐ突き進むエイビドゥなのだが、ファントムとて自らに飛び込んでくる異物を黙って受け入れはしない。  ――避けろエイビドゥ!!   頭の中を響くアゼルの声にとっさに真っ直ぐに飛んでいた空路を曲げたエイビドゥ。   先ほどまでの空路にはファントムから伸びた黒い触手がまがまがしくも存在していた。アゼルの声が後、刹那遅ければエイビドゥの肉体は無惨にも貫かれていただろう。  「やっぱり、簡単には近づかせてはもらえないか」  ファントムの推定攻撃範囲のわずかばかり外の位置で止まるエイビドゥ。  「なら、こうするか」  そう言うと再びファントムの攻撃範囲内に自ら飛び込むエイビドゥ。     キュシャャャャと音を出し、触手はすぐさまエイビドゥのもとに迫る。  「当たらないよ!! っと」 先ほどとは違い、体を旋回させて触手を避けるというよりは触手を沿って飛び、ファントムへの距離を縮める。  「んでもって、これをお見舞いしてやる!!」  エイビドゥの両手の間に小さな炎球が発生し、彼はそれに魔力を注ぎ込む。   すると、小型の炎球からそれは巨大な大炎球へと姿を変える。  「よしっ。くっらぇぇぇぇええ!!」  全身を使って炎球を絶対に避けれぬ間合いからファントムに放つエイビドゥ。   バシュゥゥゥと炎球はファントムに直撃すると同時に激しい音をたてて炎上する。 
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