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部屋の外で話を聞いてエイビドゥがショックを受けている頃、契約者選定の部屋内では……。
「まさか、悪魔を選ぶなんて…………授業をあそこまで聞いていないとは予測外だったわ」
頭を抱え、自分の未熟さを噛みしめる女性。
「しかし、どうしましょうか? 選定の儀は選定する者にだけ選定する権利が与えられる。私たちが何を言おうと本人の意志がそれを選んだのだからどうしようもない…………」
だが、しかし女性も悪魔との契約においての対価のことは知っている。
このままでは……と悩む半面、どうしようもないことも事実という考えも半面。思考がつきることがなかった。
一方、外で固まっていたエイビドゥは仲間達と共に自分たちの部屋に戻っていた。
部屋のベッドに腰掛け、ひたすら下を向き落ち込むエイビドゥ。
「…………」
「まぁ、気にすんなよ。力使わねえ限りは何もとらねえよ。カッカッカ」
悪魔は笑いながら、エイビドゥに語り掛ける。
「にしても、悪魔ってもっと邪悪なイメージがあったけど……」
ルーティが場の重い空気を打開しようと無理に話す。
すると、悪魔はさらににやけて話しだす。
「だろ? 俺様みたいにフレンドリーな悪魔もいるってことさ。だからさ、我が主よ仲良くしよーぜ」
悪魔が口にした“仲良く”その言葉が意味するのはエイビドゥがこれから先ずっと悪魔と共にあらねばならぬということ。
再び場に重い空気が漂う。
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