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ここは大都会の名に相応しいだろう。
高層ビルが立ち並び、誰が作ったかわからない芸術的なオブジェ。毎日渋滞ができる国道。
日の上がっている時は大企業に勤める会社員達が忙しなく歩き、高級住宅街の奥様方が高級車に乗り、子供の送り迎え。御近所との食事会。一般人ではとても手の届かないブランド店の前に止め、見栄のために大金は払ってゆく。
夕暮れになると繁華街は一層騒がしくなる。
ファーストフードやゲームセンターなどの店は人で溢れ返り、シャッターの閉まった店はちらほらみかける程度。
電車やバスなどの交通機関は帰宅ラッシュ。
しかし夜になればその表情は一気に裏返る。
繁華街の裏通りはネオン街となり、高そうなスーツを着たホスト、風俗店の呼び込みをする中年男性。
あちこちでは罵声が飛びかい喧嘩なんてものは日常茶飯事である。
不法滞在の外国人、麻薬中毒者。
ここは国が見捨て、権力者達が自分の都合の悪いものを吐き捨てている、いわば無法地帯。
国が認めた非合法区域。
通称【華番地】。
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