胎動

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「ラズバット島にある古城ですわ、明日の晩までにお願いしますいたします。」 「ラズバット島といえばアーズ財団の所有地で、断崖絶壁に囲まれ孤島、財団所有の武装集団に数々の極秘研究所、そんな所に指輪を?」 なにか引っ掛かる。 ジェダはそう心で呟く。 いつもは依頼に口を挟む事など一切しないが、戦場のハイエナと呼ばれたスカーからの依頼、裏の世界では泣く子も黙るほどの名前で通っているのになぜエースに依頼をもちかけてきたのだろうか。 ジェダの不安をよそに彼女は話を続ける。 「嫌なら結構、私は諸事情がありまして今回はエースに依頼したのですわ。」  ジェダは少し考えると指輪を見つめ、小さく頷いた。 「この依頼、受けよう。報酬は依頼達成後の明後日の朝にここで受け取る。」  腑に落ちないがそう言うとスカーは椅子から立ち上がりジェダに一礼するとその場から離れた。
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