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「この体だ!私が探していたのは!」
四郎の声が、老人がはっしていた若者の声になっていた。
「月影四郎はたった今死んだ。これからは月影妖四郎と名のるぞ!」
四郎は何者かに体をのっとられてしまった。
「よし、まずは謙信からか。各地の大名たちを利用して人間たちを滅ぼし、妖魔の世界を作りあげてやるぞ!」
妖四郎はそう言うと、謙信のもとへむかった。
―同刻、備前の宇喜多直家のもとにも、一人の浪人が仕官していた。彼の名は藤丸誠十郎。誠十郎は直家の命で、領内視察をしていた。その途中、一人の娘と出会った。
「誠十郎‥‥‥」
娘が名を呼んだので、誠十郎は驚いた。
「娘‥‥‥。どこぞでお会いしたかな?」
誠十郎は娘に問いかけた。
「いえ。初めてお目にかかります」
娘はそう言って誠十郎に頭をさげた。
「ならば、なぜ俺の名を?」
誠十郎がまた娘に問いかける。
「ある人に頼まれて、貴方のお手伝いをしろと言われまして‥‥‥」
誠十郎は首をかしげる。
「誰にたのまれた?」
誠十郎は腕を組む。
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