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「誰に頼まれたかは、今はあかせません。ただ、あなたにお願いしたいことが」
娘はそう言うと、誠十郎に白い数珠を差し出した。
「これは?」
数珠を受け取る誠十郎。
「これには以前、妖魔が封じこまれていました。ところが、あるきっかけで封印が解けてしまったのです」
「妖魔?封印?」
誠十郎は数珠をみながら首をかしげる。
「妖魔とは、人間の悪い心、“邪心”に取り付く妖怪です。今、天下統一をせんと名のりをあげた大名たちの邪心によって封印が解けてしまったのです」
誠十郎はますます首をかしげる。
「‥‥それで、俺にどうしろと?」
娘は話を続ける。
「それで、この世ににげだした妖魔たちを、再びその数珠に封印してほしいのです」
娘はそう言ってまた誠十郎に頭をさげた。
「なんのことやら‥‥さっぱりわからん」
誠十郎は頭が混乱している。
「妖魔を放っておくと、大名たちの邪心にとりつき、人間を次々と殺していきます!それだけは止めたいのです!どうか、手を貸してください!」
娘はそう言って、今度は誠十郎に土下座した。
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