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「まってくれよ。なぜ俺なんだ?」
誠十郎は娘を立たせた。
「貴方の体には、鬼が眠っています。その鬼の力を使えば、妖魔を探すことができます」
「お、鬼って‥‥」
誠十郎が言葉につまると、娘が今度は額当てを差し出した。
「それを頭につけてみて」
誠十郎は言われるままに額当てを頭につけた。
「うっ!」
その瞬間、頭に激痛がはしり、体からはどんどん力がわいてくるのがわかった。
「こ、これは‥‥!」
誠十郎が自分の頭をおさえると、突起物があった。
「その額当てをつけると、鬼の力が解放されるのです。頭にある突起物は、鬼の角です」
「お、おれの中に鬼が‥‥‥」
誠十郎は言葉を失う。
「鬼の力が解放されているときだけ、妖魔の姿をみることができます‥‥。おねがいです!どうか、妖魔を‥‥‥!」
娘がそう言うと、誠十郎はうなずいた。
「わかったわかった。俺にしかできないんだったらやってやるよ」
誠十郎はやけになった。
「とりあえず、このことをお館様に報告してくるよ。娘‥‥名は?」
「私はお鈴。すずと呼んでください。お手伝いします」
すずは頭をさげた。
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