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そして誠十郎は宇喜多直家に話をしたものの、妖魔だの鬼だの現実ばなれした話を信じてもらえず、旅にでるゆるしをもらうことができなかった。
誠十郎が長屋にある自分の家に戻ると、そこにはお鈴が待っていた。
「どうでした?」
お鈴が誠十郎に問いかけた。
「だめだった。鬼だの妖魔だの現実ばなれした話だから聞いてもらえぬ」
誠十郎がそう言うと、お鈴は肩をおとした。
「そうですか‥‥」
しばらく二人の間に沈黙が続き、やがて誠十郎が口を開いた。
「‥‥しかし、妖魔とやらに好き勝手にやらせておくのもおもしろくないな」
誠十郎はそう言って腕を組む。
「‥‥でも、どうすれば‥‥」
お鈴が問いかける。
「こうなったら、宇喜多家に天下を統一してもらうか‥‥戦で妖魔とやらを退治していくしかなさそうだ」
誠十郎はそう言ってお鈴の肩を軽くたたく。
「‥‥それしか方法はないみたいですね‥‥」
お鈴がそう言ってうなずいた。
―こうして、誠十郎の天下統一をかけての妖魔退治の戦いが幕をあけた。
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