気持ちの行方

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  『芹佳、十河のことはどうする……?』 『うん…。頃合いを見て、話そうと思う。今は誠が好きだから』  1ヶ月半前、参考書を買いに行った帰りに寄ったファーストフード店で、偶然、聞いてしまった。  地元の人がふらりと寄る店だし、同じ学校の人はいないと思ったのだろう。  綾花はその時、帽子を目深にかぶり、時間潰しにもってきた小説を読んでいた。  込み合う店内で隣りの席。  視線をそこに向けることはできなかった。  すぐに席を立つのもどうかと思い、結果、始終2人の会話を聞いてしまった。 『オレから話そうか?』 『……ううん、私から言う』  想い合う2人のやり取りに、耳を塞いだ。  この事実さえ知らなければ、愛人になって、など、おかしな告白などしようと思わなかった。  朔良の表情を見れば、どれくらい彼女が好きか嫌でもわかる。  このままでは、入る隙などないことも。  だから、好きという想いよりも、ちょっと解答に困る言い方をした。
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