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ほんの少し冷たい朔良の指先が首筋をなぞり、セーラー服のVの字で止まった。
予想もしなかった朔良の行動に、綾花の喉が静かに上下した。
「引き返すなら、今のうち…だけど……」
「訂正はしない」
その言葉を聞いて、朔良は綾花の耳元に口唇を寄せた。
「お前、バカだろ」
低い声が鼓膜をくすぐり、綾花は肩を竦めた。
同時に、背中を何かが駆け抜けていくのを感じていた。
「別に彼女じゃなくても、男は他の女とヤれる。遊ばれて、捨てられても構わないと思ってるなら、救いようのないバカだな」
厭味を込めた口調で囁いて、綾花の反応を伺う。
綾花はぎゅっと口唇を結んで俯いた。
「……バカでいいよ。好きな人だったら、遊ばれて捨てられても」
言いながら怖ず怖ずと伸びた手が朔良の頬を包み、口唇に触れる。
避けようと思えば避けられた行為を、朔良は思わず受け入れていた。
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