このメニューを見ると いつも思い出す

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生姜焼き定食 いつもこのメニューを見ると 昔を思い出す 貧乏学生だった俺は アルバイトをしながら 文武両道 勉強と剣道を頑張っていた 特に忘れられなかったのは 大学の近くにある食堂の生姜焼き定食だ あの味付けはおふくろの味というか 亡くなった母親の味に似ていた 俺はほとんど毎日の様に その食堂に通い 生姜焼き定食を食った 金が無いときでも 店の大将は 出世払いでえーから' と食わせてくれた 大盛りで食わせてくれた アルバイト代も 家賃や光熱費に消え 俺は食堂の大将に金を一円も払わず 生姜焼き定食を食い続けた 大将に甘え続けてた俺は  卒業し引っ越しをした 心の中で悪いと思いながら… 数年後 地元企業に就職した俺は あの時のツケを払おうと封筒に金を入れ 店を訪ねた まだ店はあった 嬉しかった テーブルにつくと大将が 生姜焼き定食でいいか?の声 俺は感激しながらうなずいた… 一口食った瞬間 俺は嬉しかった 美味い!味は全く変わってなかった 金を払おうと財布を出そうした時 食堂の大将が言った おめぇそれで出世したつもりか? 大将は奥の部屋に消えて行った 俺は少し淋しくなって店を出た 悔しかった 自分が情けなかった 礼の一言も言えなかった…     新部長 明日の昇進祝いは何処がいいですか? 部下が俺に声をかけてくる そうだなぁ 頑固オヤジが作る生姜焼きが食いたいなぁ 日本一美味くて温かくて 頑固な生姜焼きだぞ…
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