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「ま、真澄さん。く、来る!ど、どうしよ…」
慎之介は坂の上から怯えていた。
下には三人の侍がいた。
正確には浪人だった。
一人は坊主頭。一人は筋肉質に二の腕に入れ墨を。一人は額に十字の刀傷が入っていた。
三人ともとてもいい人相には見えない。坊主頭の男は薄気味悪い笑いを浮かべていた。
「慎之介!なにやってんの!あんたはどっかに隠れてなさいよ!!」
真澄は怒鳴った。
「で、でも…」
「でももへちまもないわよ!あんた、私を信じるって言っじゃない。それにほらっ…」
真澄は慎之介に言いながら指を指す。
差した方向には、三人が坂をかけ上がろうとしていた。
慎之介は体を震わせた。
「大丈夫よ慎之介。私に任せて、ねっ!」
真澄はにこりと笑う。
「あんた木の中に隠れてなさい。すぐ終わるわ。」
真澄は慎之介を手で追い払う。
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