旅立ち

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保護した慎之介に真澄は聞いたが、当人は狙われた衝撃と八重の安否が気になり余り話さない。 それに自分の事が良く解らないと言う。 医者にも見せたがわからない。ただ、様々な衝撃で記憶を一時的に失ったのでは無いかと話した。 慎之介は食事以外は八重の元を離れなかった。 「先生、よろしいでしょうか? 襖の奥から声がした。 「どうした?」 盛重が応える。 「はっ、八重さんの意識が戻りました。」 「そうか、よし真澄行こう。」 「はい。」 盛重と真澄は部屋を出た。 「よがっだ…やべ、よがっだ…」 慎之介は鼻水を出しながら泣いていた。 「し、慎之介様、な、泣かないで…」 八重は慎之介の涙を指で拭おうとした。 が、体がまだ回復していない為か手はあまり動かなかった。
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