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ザァ――――――……
家につくころには雨も本格的になり、俺は結局びしょびしょになってしまった。
(あーぁ。走ればよかったかなぁ)
「ただいま……」
憂欝な気分で玄関に入るとリビングからすっと人影があらわれた。
その人影は
「…おかえり。…風邪引くからちゃんとふいとけ。」
と言ってタオルを差し出した。
「あ……りがと」
このぶっきらぼうな感じのが、俺のもう一人の兄、縁 響時(エニシ キョウジ)である。
三つ歳の離れた兄で、今は大学三年生だ。
弟の俺がいうのもなんだが、きりっとした精悍な顔つきにしなやかで少し筋肉質な無駄のナイ体付き、頭もよくて頼りになる…響兄はマヂでかっこいいと思う。
「……なんだ」
俺が見つめまくっていると響兄が聞いてきた。
俺はあわてて視線をそらし、タオルを頭からかぶって
「着替えてくる…」
といってごまかした。
響兄は、そうか、と言い
「もうすぐ夕飯だから、結と一緒に降りてこい」
とだけ言って再びリビングへひっこんだ。
「…………はぁ…」
また、見つめまくってしまった。いくらかっこよくてもあんなに見つめてしまうとは。
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