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“ごちそうさまでした!!”
「はい。」
夕飯を食べおわった俺は食器を片付けすぐに部屋に戻ろうとした。
ここ三日俺は二人と一緒にいて平静を保てるわけないと思い、部屋にこもることが多かった。
響兄を好きなってからずっと、俺は迷惑を掛けたくない一心で『兄と弟』の関係を完璧に作ってきたつもりだ。
けれど結の告白の場面を見てしまってからはどうにも落ち着かない。
自分の気持ちを隠すのに必死で、二人と一緒にいられないのだ。
しかし、今日は響兄に呼び止められてもう一度椅子に座ることになった。
俺が不思議に思って
「どうしたの?」
と聞くと、どうやら話があるのは結のようで響兄も内容までは知らないらしい。
俺と響兄が黙って結を見つめていると、結はポケットから封筒を取出し、“にやぁ…”っと笑った。
人にはまばゆい笑顔にしか見えないらしいが、俺たちには何か企んでいるのが丸わかりだ。
響兄と俺はお互い顔を見合わせ
“恐いね…”
“…あぁ”
とアイコンタクトしあったのだった。
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