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「響兄、バイトは……」
俺は一番気に掛かることを聞いてみた。
響兄はもしもの時のために遺産を残すため、学費以外に必要なお金はバイトで稼いでいる。
もちろん俺たちの生活費も、だ。だから響兄はめったにバイトを休むことがない。
できるならこの機会に体も休めてほしいけど……。
「あ……そっか。響ちゃんが行けないなら僕らも今回は……」
「いや、行く。」
“えっ??!!”
気を遣った結が‘やめよう’と言おうとしたとき、響兄が割って入った。驚いた俺たちは思わずハモってしまった。
「たまには……休んでもいいだろう。俺に気を遣うな。行きたいんだろう?」
普段寡黙な響兄だからこそ、こういうときの優しい一言が心に響く。
「俺も…羽を伸ばしたいしな」
俺たちはそんな響兄に甘えて、三人で今度の連休にホテル「ロイヤルハート」へと行くことにした。
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