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―――――………。
「あ、あのさ……」
「なんだ?」
この会話もすでに五回目である。
久野は懐が大きいからか、俺が話しだすのをずっと待ってくれている。しかし俺は、今だに一歩が踏み出せない。
(どうしたらいいんだろう…)
俺が悩んでいると久野が言った。
「言いたくないなら無理すんなよ?俺だって悠人に言えないことはあるしな」
よく気のつくやつだ。だからつい、頼ってしまうのかもしれない。
俺は踏ん切りを付けて話しだした。
「俺……ずっと前から、響兄のこと……好きだったんだ」
「………。」
俺が俯きがちにいうと久野からは何も反応がない。とりあえず俺は続けた。
「お、男同士なんて気持ち悪いかもしれないけど…ましてや兄弟だし……っだけど、本当に好きなんだ」
「………。」
久野からの反応はない。
「それで…今までは普通に兄弟として接してこれたんだ。だけど…こないだ結が響兄に告白してるとこ見ちゃったんだ。」
思い出してまた胸が軋む。
「だから……二人と一緒にいると平常心でいられなくて。ホテルだって…」
俺は震えそうな声で話した。
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