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「……………おい」
「………?」
響兄がベッドの側まで来て腰掛けた。そして指の長い大きな手で俺の頭をなでた。
俺は何も言わずにただされるがままになっていた。
「何年兄弟やってると思ってるんだ。おまえのやせ我慢くらい、すぐわかる」
……本当に、お見通しらしい。
響兄の優しい言葉やなでてくれる手に、胸が締め付けられるようだったけど、俺はさらに虚勢をはった。
「ん……。本当に、大丈夫。…ありがと」
なんとかはっきりと言葉にできた。
響兄もこれ以上は無駄とわかってくれたらしい。
「……そうか。…本当に、何かあったら…呼べ。」
そう言い置いて立ち上がった。
本音は、今にも抱きついて、好きだと言ってしまいたい。けど。
『僕は響ちゃんが好きなんだっ!!』
結の言葉が頭から離れない。まるで戒めているかのように。決してこの気持ちを口にしてはならない、と。
響兄がドアノブに手を掛けた。
「……響兄……っ。」
思わず呼び止めてしまった。響兄が振り返った。
「あ…えと、なんでも……ない。……おやすみ…」
気まずくなって、目をそらしてしまった。
「あぁ。……おやすみ」
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