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そして一言、
『俺が…守ってやる…』
と呟いて、響兄は部屋から出ていった。
しかし呟きは俺の耳には届かずに消えた。
―――――――――……………。
言ってしまえば、よかっただろうか。
でも。
「どんな人でも……俺と結なら……結を選ぶよな…」
今はまだ傷つきたくない。これ以上苦しい思いはしたくなかった。
「なんで―――……っ」
なんでだろう。
どうしてこんなに苦しいんだろう。
息をすることさえ、ままならないんだ。
たくさんの想いがあふれでて、涙が流れた。
悲しくて苦しくて、愛しくて。
どうしようもない気持ちだけが後から後から湧いてくる。
「響兄―――……っ」
その夜は星をみながら、眠るまで泣き続けた。
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