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「悠人!一緒に帰ろうぜ。」
放課後の教室。人もまばらになりそろそろ俺も帰ろうか……と思っていると幼なじみの香久山 久野(カグヤマ ヒサノ)が声をかけてきた。
「あぁ。いいよ。部活は?」
「今日は休みなんだ。」
「そっか。じゃあ帰ろ」
野球部エースの久野が部活もなく帰れるのはめずらしかったので俺は久しぶりに一緒に下校することにした。
「あれ?結人は?一緒に帰んないのか」
結人(ユイト)とは俺、縁 悠人(エニシ ユウト)の双子の兄のことだ。俺と久野が幼なじみならば必然結人もそうである。
「今日は先に帰ったよ。俺が日誌書いてたから」
「あーそっか。そいえばおまえ日直だったな」
「うん。」
と二人で世間話をしているとだんだん雲行きが怪しくなってきた。
空は暗く厚い雲が広がっている。
「あちゃー…雨降ってきそう」
と久野が言った。直後に
ポツ、ポツと小さな粒が顔にあたった。
「あ。降ってきた」
「げっ。っと………じゃあここでバイバイだな」
気付けば久野と別れる交差点だった。
「うん。じゃあまたね」
俺は軽く手を振って家路を急いだ。
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