異変

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そのほんの少し前… S県警察署の裏口に、覆面パトカーが停まった。 助手席のドアを開けて、整った顔立ちをした長身の男が後部のドアを開ける。 後部にはスーツ姿の男が2名両端にいて、中央にTシャツの格好をした男が座っている。 Tシャツの男はどこにでもいる普通の若者と言う印象だが… 手首には手錠が掛けられていた。 「おい、日野…降りろ…」 長身の刑事が身を屈めて促した。 「…はい…」 後部の刑事2人に確保され、日野は降りた。 裏口に、制服警官が3名程待機していて、車に近付く。 「お疲れ様です!」 敬礼とともに労いの言葉をかけてきた。 「ああ、みんなご苦労様…よろしく」 「はい!」 「義正、尾形、すぐ取り調べだ。まずは取り調べ室へ連れて行ってくれ」 「分かりました…日野、行くぞ!」 指示を受けた2人の刑事は若いが、少しだけ年長らしい方が了解し、日野を促す。 計6名は先に署内へと入って行った…。 「島峰、課長が待ってる。報告だな」 車の方から、長身の刑事へ声がかけられた。 「…ああ、…それにしても、あんな普通の若い奴がヤクザを刺し殺すなんてな… 解らないもんだ…しかし、お前よく素手で確保できたなぁ… ショーティ…」 「コンバットナイフマニアだからな。使い方も慣れていた…研究していたんだろう」 運転席のドアを閉め、少々背の低い刑事が応えた。 髪は金髪だ。 染めている訳ではない。 なにより印象深いのは、その瞳… 深く、吸い込まれそうな蒼い瞳… 明らかに白人だ。 彼の名は、マモル・スマイソン。 S県警捜査一課の刑事だ。
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